新型の飛行機は、すべて「未知の要素をもっている」といってよい。新機種の開発とは、それまでにないものをつくり出すことである。既存の機種よりも「より速く飛ぶ」「より大勢の乗客を運べる」「より遠くに飛べる」など新たな性能を発揮するために、新たな技術が数多く盛り込まれる。その結果、予期せぬことが起こり得る。危険な飛行機には、①設計上の欠陥をもつ、②飛行機のクセが強すぎる、③製造上のミス、などがある。
設計上の欠陥をもつ
「設計上の欠陥」が明らかになったことで有名な例は、英国のコメット旅客機だ。世界の航空産業界は、高空を飛ぶジェット旅客機の「金属疲労」の問題を知らなかったため、一九四九年に世界初のジェット旅客機となったデーハビランド・コメットは就航一-二年の間に三機の墜落事故を引き起こした。英国は国の名誉をかけて、地中海の海の底に沈んでいた機体の残骸を海軍まで動員して引き揚げ、事故原因を突き止めた。
ジェット旅客機はプロペラ機よりもはるかに高空を飛ぶのだが、空気の希薄な高空で地上とほぽ同じ与圧をかけられた機体は膨らむ。地上へ戻ると元の状態になるわけだが、飛行を重ねているうちに機体は伸び縮みを繰り返し、弱くなった箇所に亀裂が入り、機体が破壊されたのであった。
その後に開発されたジェット旅客機は、「金属疲労」を念頭において設計を行うとともに、部品の耐用年数を定めている。
ボーイング747ジャンボ機の初期型(1100-200型)では、胴体の翼の付け根付近に配置されていた四〇〇本近い電気配線の東が近くにある中央燃料タンクを暖めるために、燃料タンクの爆発事故を引き起こす可能性が高いとみられている。
九六年にTWAのジャンボ機が空中爆発を起こし大西洋に墜落した事故調査でも、タンクが暖められて内部で気化した燃料に、残量を測るためにタンク内に設置されている配線につながる電気回路でショートした火花が着火して爆発した可能性が高いと報告されている。
1100-200型では、燃料タンクとエアコンの間に断熱材を置くよう改修が行われたが、新型の1400ではこの箇所の設計は一新され、危険性は排除されている。
世界中で三七〇〇機が飛び回っているボーイング737には尾翼に深刻な問題がありそうだ。「古いモデル(100-200型)は方向舵に設計上の問題があり、最新モデル(300型以降)は水平安定板に不安を抱えている」(前掲メアリー・スキアーボ著『危ない飛行機が今日も飛んでいる』)。
300型以降のB737には水平尾翼を補強する設計変更が行われ、何度も改修指示が出されているが、根本的には解決されていない。
二〇〇〇年九月、米連邦航空局が「九〇年代に墜落事故を起こした二件のB737型機の原因は方向舵にあった」と公表したことを受けて、ボーイングは同型機の方向舵に装備されている制御システムを二〇〇三年から全面交換すると発表した。