2012年7月2日月曜日

船よりも大きな飛行機り登場

一九五四年に日航が初めて国際線に乗り出したときに使用していた国際線用「大型機」ダグラスDC16Bのペイロード(搭載可能重量)はコ∵七トンしかなく、乗客の定員は六〇名(国際線用仕様)だった。六〇年代に民間航空もジェット化時代を迎え、乗客数とスピードは約二倍(一〇〇人、九〇〇キロ)になり、太平洋横断はコー時間、ヨーロッパへは一七時間に縮まった。

だが、海外旅行がほんとうに楽になっだのは、七〇年代のジャンボ機の就航からである。座席スペースがI・五倍に広がってくつろげるようになり、通路が二本になったので、トイレのついでに機内で少々散歩をするゆとりもできた。

ジャンボのすごさは搭載量にある。当初のジャンボ機でも乗客の定員三六〇人、最大離陸重量が三三三・四トンと通常のジェット旅客機の四機分の輸送力があったが、現在活躍しているボーイング747-400(最大離陸重量三九四・六トン、ペイロード三九・五トン)は、乗客を最大四三〇人(国内型五六八人)乗せて、東京からニューヨークやロンドンを上回る一万二三〇〇キロを無着陸で飛行できる。

このように多くの乗客を乗せられるようになった要因は、エンジンの出力の向上だ。プロペラ機のDC-6Bは四基のエンジンの合計でもI〇トンの推力しかなかったが、ジャンボの1400ではI〇七・七トン(一基あたり二六・九トン)と一〇倍にも増えている。

そして、最新型のボーイング777-300ではさらに増加し、二基で八一・八トンと、一基あたりの推力は五二%も強化されている。その結果、二基のエンジンながらも五五〇人の乗客を乗せて一万五〇〇キロをマッハ〇・八三で飛行できる性能と、初期のB747よりも一座席あたりの運航コストが三分の一安くなる経済性をもつ。

大型化の次の目標は1000人乗りの超大型機だ。口火を切ったのはエアバスだった。全長六九・七メートル、総二階建ての胴体のA380-800は国際線仕様で五五五席、オールーエコノミーの国内線仕様で八五〇席の巨体だ。

開発費用は一〇七億ドル(約一兆二六七〇億円)だが、二〇〇六年から納入を開始できるという。機内のスペースが広いということで、ゆったりとした座席スペースやラウンジなど共用スペースが魅力だ。

対するボーイングも、現行のジャンボ機の胴体を延長して四六〇席とする500と、五五〇席(国内線仕様で七五〇席)の-600の「ボーイング747X」計画を発表してエアバスの動きを牽制したものの、まだエアラインの購入意欲が弱いことを理由に開発の凍結を発表した。

ところがエアバス社がしっかり注文を集めていることが明らかになり、あせったボーイングは、代わりに-400の搭載能力を一六%増やした国際線用で最大五三一席、国内線用で最大六六〇席の「ボーイング747X」の開発を行う意向を明らかにしている。

ボーイング社のセールストークは、現用の機体をベースに開発するので、開発コストが少なく、開発期間も短い(二〇〇五年に就航可)、というものだ。

エアバスA3801800は、エミュレーツ、シンガポール航空、エールフランスなとがら開発決定に必要な五〇機の注文を獲得し、二〇〇〇年十一月に開発に取りかかったのだが、開発費の安いボーイング747Xには注文が入らない。

注文の集まらないボーイングは業を煮やし、音速のスピードに近い中型機の開発を先行させるため、二〇〇一年三月末に超大型機の開発をいったん棚上げにすることを発表した。いずれにせよ、二I世紀の初頭には、世界の空を船よりも大きな飛行機が飛び回ることになる。