もっともホームオフィスについては、州や町によって条件が異なっています。ニュージャージー州内の多くの自治体では、自宅でフリーランスとして働くことやミニ企業を営むことが違法とされていて、ある自治体では、最高一〇〇〇ドルの罰金と九〇日間の禁固刑が科されているそうです。
このような地域による規制の他に、個人では医療保険に加入が難しいこと、税金が高いことなど、会社で働くことを前提にした従来の制度下にあることが挙げられています。
フリーエージェントになることについて、きわめて楽観的に書いていますが、アメリカではもともとよい条件を求めて会社を移るという風土があります。たとえば、勤続年数を比較すると、アメリカでは男性の平均勤続年数が七・五年、中位数(大きさの順に並べた時の中央にくる数値)が三・五年、日本では同じく平均が二五年、中位数が一〇年です。アメリカは一九九一年、日本は一九九〇年の推計。
アメリカでは会社を替わったり、独立したりすることに、社会も個人も抵抗が少ないので、ピンクさんのような主張も素直に受け入れられるのでしょう。
窒息するオフィス?
ここでアメリカの仕事の状況をみておきます。ジル・A・ブレイザー著「窒息するオフィス・・・仕事に脅迫されるアメリカ」という本の著者ブレイザーさんは一九五六年生まれのビジネスレポーターで、金融レポーターとして、「ニューヨーク・タイムズ」「フォーブス」などで活躍している女性だ。この本は読んでおくべきだと思う。