2015年5月11日月曜日

えこひいきが激しい

外国人上司に、嫌いな点を直してもらうには、どうすればよいのだろうか。「評価が恣意的」とか、「えこひいきをする」とあなたが感じているとして、それを上司に気づいてもらい、改めてもらうのは難しい。面と向かってハッキリ言うと、あなたと上司の関係は相当に緊張する。相手は「評価は客観的で不当な差別はしていない」とまず反論するだろうから、自分の意見を通そうとしてもJ人だけではまず無理だ。では同じ上司を持つ同僚と共同歩調を取って改善を迫るべきだろうか。実はこれも難しい。まず誰もがあなたと同じように、恣意的に評価を下げられているとは限らないのだ。高く評価されている人が、上司の基準や判定に不満があるはずがない。

では、あなたと同じように不遇感を持つ人を抱き込めばよいのだろうか。それも一筋縄ではいかない。下手をすれば上司に直訴する前に、あなたは不満分子だと上司に告げ口されてしまうかもしれない。外資系企業では、麗しい同期愛とか同僚の連帯などというものはない。組合に駆け込むなら話はまた別だが(それでも結果が出るとは限らない)、同僚に頼るのは極めて危険である。チャンスがあれば、一人でもライバルを減らそうと考える環境にあって、連帯を図ることはほとんど無謀だ。ならばどうすればよいのか。最も妥当な解答は、消極的ではあるが、「我慢して、それができなくなったら辞める」という結論になる。

日本人を軽んじる、外国人だけで集まる。次に「日本人を軽んじる、外国人だけで集まるから嫌い」、という理由について考えてみよ外国人上司が日本に赴任している理由については前節で述べたが、理由が何であれ、彼らは日本でのキャリアが成功であったと言える証が欲しいはずだ。その証を獲得するには、現地採用のスタッフの協力が必要と、彼らは分かっているはず。だから日本人を軽んじる上司にはそれとなく、または直截伝えることも無謀ではない。やんわりと伝えるか、ズバリ切り込むかは、あなたと外国人上司との人間関係による。

部下の直言を受け入れる度量のある上司ならば、そもそもこれ見よがしに日本人を無視したり軽視することはない。だが、自信があり過ぎたり、逆に赴任早々で自信があまりないタイプの上司は、言われてから初めて気がつくということもあり得る。特に海外赴任が初めてという上司は、話がしやすい同国人や外国語の堪能なスタッフと時間を過ごしがちだ。このタイプは誤りに気づいてもらうためにも、えいっと思い切って訴えるのも有効である。

しかし相手に度量がない場合、二人だけの席で相手のプライドを傷つけずに伝えるには、それなりの技術が必要だ。あなたが人間関係のトラブル処理が得意ならば朝飯前かもしれないが、相手の育った文化環境によっては、虎の尾を踏むことにもなりかねない。明らかに人種差別や現地人(この場合は日本人)軽視の姿勢がありありの場合、諌言は全く受け入れられないということもある。注意するだけ無駄、下手をすると自分に災いが及ぶということもあるかもしれない。