2012年12月25日火曜日

不奸治療の方法が次々に開発される

その例として、「私か最後に受けた不妊治療のギフト法というのは、体外受精より確率が高いといわれていました。しかしどこででも受けられるわけではなく、飛行機などを乗り継いでA市まで行かねばなりません。この時もその治療を受けるため二日前からA市に滞在し、前夜からは当該病院へ入院して待っていたのです。この治療に向けては、事前に自宅近くの病院で投薬を受け、採血をし、凍結させたものをもって飛行機でかけつけ、夫とともに約一三時間後のこの新しい治療に、やはり大きな期待をかけて待っていたのです。

ところが主治医(執刀医)が突然入ってきて、『今回は残念ですがお帰り下さい。検査の結果、ホルモンの値が欲しい数値に達していません。成熟度の高い卵がたくさんとれる可能性が少ないから今回はやめます』と。いやも応もありませんでした。ふたりで顔を見合わす元気さえなかったですね。本当に情けないと思いました」と、不妊治療のやり方について説明してくれた。

このような厳しいチェックを他国でも行なっているようなので、いかに確率の低いものかが推察できる。また、不妊治療を受けた女性には、高い確率でがんなどが発生していることも、レナーテークラインさんから聞き、がんで亡くなったある友人のことが頭をよぎった。ありし日にその友人が語った、「私は○○家の跡取り娘でしょう。片く結婚したけど、子どもがなかなか生まれなくてネ。ず1つと不妊治療を受け、子どもが生まれるようになってこっちへ帰って来たのよ」という。一呂葉を思い出したからだ。

こんなに子どもの出生を当然視する社会の中で、不奸治療の方法が次々に開発され、成功が華々しく報道されることは、不妊女性にとって、治療をしないを強く阻害されることになる。次々に開発される不奸治療は、試したことのない新しい方法であり、それはすべて成功の可能性を秘めた方法ということになる。したがって末体験の不奸治療を、すべてにわたって休験し続けない限り、不妊克服のための努力をした女性とはみなされない。

また、それだけの努力をしない女性は、女ではないというほどの強迫感を受けることも多い。しかも夫婦の問にフトどもが生まれないことを、いつも一方的に妻の方が悩まねばならないのが日本の特徴。妻に原囚がある場合だけでなく、夫にある場合もまた、夫に「不妊」を負担に思わせないように気をつかいながら、妻が悩んでいる。不妊の原因には不明な部分が非常に多いし、しかもどちらのせいかを追及しても現状が変わるわけではない。余計に夫婦を追いつめ、不毛な関係に追い込んでしまうだけだ。

さて産科学の中で一番未解明の分野は何かというと、先にも述べたように、非常に不思議なことだが、それは出産における一番基本的な部分、誰にでも自然に起こり、しかもそれが重大なお産の徴候とされる部分、つまり陣痛(子宮収縮)の起こる理由とか、陣痛の強さがどのようになった時、子宮の状態はどうなっているかという、陣痛と千百の状態との関係である。女性たちはもう何千年にもわたって産み続けているのに、このように地道で大切な生理的変化の究明がなされていないのは大変残念なことである。陣痛発来の仕組みや要因がしっかりとわかれば、それがいつ来るかをほぼ正確に予測し、備え得るわけだから、もっと積極的に分娩ににぶける危険を回避することが可能となる。